【詳説】国益適合要件

■ここでは、永住ビザの『国益適合要件』について、更に詳しく解説していきます。
※この要件は内容がわかりにくいため、詳細を十分に理解せずに不許可理由となるケースが非常に多いため、しっかり確認していきましょう。
永住許可のためには、この「国益適合要件」の他にも原則として「素行善良要件」や「独立生計要件」をクリアする必要があります。
しかし、この「国益適用要件」においても、前科の有無や納税義務、独立生計等、「素行善良要件」や「独立生計要件」と同じような条件が課されています。
★すなわち、法的義務の遵守については、素行善良要件や独立生計要件のみならず、この国益適合要件でも審査されているのです。
まずはこの点をしっかりと押さえてください。
特に、日本人の配偶者や永住者の配偶者等に対しては「素行善良要件」や「独立生計要件」が条文上免除されていますが、
この「国益適合要件」は日本人の配偶者等であっても課されているため、
たとえば申請人に前科前歴がある場合や、税金の未納・滞納、収入の未申告等の公的義務違反経歴がある場合、
経済的状況を見て公共の負担となると判断される場合等は、
仮に素行善良要件・独立生計要件の免除対象者であっても、この国益適合要件を満たさないとして不許可になる可能性があるため油断は禁物です。
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<国益適用要件について> 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること、かつ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間を もって在留していること。 各種届け出義務等を遵守していること。 納税義務等公的義務を履行していること。 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。 経済的状況を含めて、公共の負担とならないこと。 一定の日本語能力を有していること。 日本の制度やリールなどを理解していること。 学齢期の子を養育する場合は、適切に就学させていること。
<【ア(居住要件)】の特例について>
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【ア(居住要件)】については『各論:国益適合要件』で確認も確認していますが、
現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していることが求められています。
なお、現行法上の最長の在留期間は「5年」ですが、実務運用上は、2027年3月までの申請については、「3年」でも当該条件を満たすものとして取り扱われます。
日本を生活の本拠とした継続的・安定的在留実績そのものが、直接的・間接的に日本国の発展に寄与するものであるといった考え方が、
上記【ア】の条件に通底しているものと思われます。

次に、【イ(法的義務の遵守)】について確認していきます。
中長期在留者には、遵守しなければならない義務がいくつかあります。
・住居地届出義務(転居して14日以内の届出)
・各種届出義務(退職、就職、会社の移転、会社名変更、離婚、結婚等の事由の発生から14日以内の届出)
※所有する在留資格によって、届出をしなければならない内容は異なります。
・在留カードの常時携帯義務・提示義務
・有する在留資格で認められた活動以外の活動(資格外活動)をしない・させない義務
これらについて、最近は特に厳しく審査される傾向にあります。
実際の審査でも、
会社の移転について届出を出していなかったことや、
資格外活動許可を得ずに資格外の活動を行っていたこと
を理由のひとつとして
不許可処分がなされる事例がみられます。
続いて、【ウ(公租公課の支払義務)】についてみていきます。
”公租”とは、所得税、住民税、法人税、固定資産税等の租税全般のことをいいます。
”公課”とは、租税以外の負担金(公的医療保険、公的年金等)のことをいいます。
つまり、税金や医療保険、公的年金等について、適正に義務を果たしていない場合は、
永住許可申請の審査において、消極的に評価されます。
では、消極的に評価、とは実態としてどのようなものかというと、
例えば、申請時点において未納がなかったとしても、
過去に滞納(支払遅れも含む)していたことがあったり、適正な申告をしていなかった場合等について、
これを理由のひとつとして不許可処分がなされる事例がみられます。
また、この「公租公課の支払義務」については、
申請人本人のみでなく、原則として同一生計世帯単位で審査が行われます。
つまり、申請人本人が公租公課の支払義務において特に問題がない場合であっても、
同一世帯の配偶者等に問題がある場合は、やはり消極的に評価されてしまうことになります。
続いて、【エ(刑罰法令違反)】を確認していきます。
これは、申請人が過去に拘禁系(懲役、禁錮を含む)や罰金刑を受けた場合や
少年法による保護処分を受けている場合、
原則として消極評価をされるものです。
罰金刑には、例えば交通違反による罰金(反則金は罰金ではありません)も含まれます。
よって、運転免許を持っている場合は、この点においても気を付ける必要があります。
しかしながら、注意すべきなのは、交通違反については、
反則金であれば問題ないというわけではない、ということです。
軽微な違反であっても、何度も繰り返したりしている場合は、
消極評価の対象となります。
また、直接的な刑罰法令違反ではありませんが、
上陸拒否事由(入管法第5条第1項各号/例:1年以上の懲役刑・禁錮刑、麻薬等取締りに関する法令違反、売春、銃刀法違反等)に該当する場合や、
上陸許可基準(入管法第7条第1項第2号等/各種在留資格に関する基準)に適合していない場合も消極評価の対象となります。
つぎに、【オ(公共の負担)】についてみていきます。
国益要件に適合するかどうかの判断として、申請者の経済状況等も大きくかかわってきます。
前述したように、日本人の配偶者や永住者の配偶者等に対しては
独立生計要件に適合していることは求められませんが、
現に公共の負担となっている場合や、その恐れが現実的にある場合、
永住許可をすると国益に合致するとは言い難いことから、
申請者の属する世帯が、現に公共の負担となっていたり、そのおそれが現実的であるなら、
続いて、【カ(日本語能力)】についてです。
これまで、永住許可申請においては、日本語能力は問われてきませんでした。
しかし、2026年10月の改正(2027年4月申請分から適用)により、
申請人の日本語能力が審査において考慮されることになりました。
これは、永住許可を受け、今後長年にわたり日本で生活していくうえで、
地域社会に円滑に適応し、社会生活を支障なく過ごしていくためには、
一定水準の日本語能力が必要だろうと考えられるからです。
実際にどの程度の日本語レベルが求められているかというと、
日本語教育の参照枠(CEFR)における日本語能力熟練度のうち、「B1」相当レベル以上だとされています。
この「B1」相当レベルは、自立した言語使用者で、
JLPT(日本語能力試験)N3レベル相当で、
日常生活を問題なくこなせるレベルと考えられています。
ただし、
「高度人材外国人」やその家族、
日本の小・中学校で合計6年以上中等教育を受けた場合、
永住者の子(養育する親がB1相当レベル以上の日本語を有し、かつ、その子が日本で出生した場合)
においては、
必ずしもその申請人本人にB1相当レベル以上の日本語能力を求めるものではありません。
そして、同じように日本社会への円滑に適用するという観点から、
【キ(制度理解)】も、2026年10月の改正(2027年4月申請分から適用)で新たに考慮要素とされました。
制度理解とは、日本の制度やルールを理解し、
地域社会に円滑に適応できるか、という点をみています。
地域社会に円滑に適応せず、問題を引き起こす恐れがある外国人については、
日本国の国益に反し、永住許可をすることは相当ではないと考えられています。
よって、が日本の制度やルール等について理解が乏しい場合、
またはこれらを理解する意欲に欠けている場合、
消極評価の対象となります。
具体的には、入管の指定する方法により、
「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に、
日本の制度・ルール等を理解しているのかの確認をおこない、
その理解が一定水準以上に達しているかを考慮要素とします。
最後に、【ク(学齢期の子の就学義務)】について確認します。
日本では、小学校の6年間と中学校の3年間が義務教育の期間となっています。
外国人の子供が、日本の地域社会に円滑に適応し、社会生活を支障なく過ごすためには、
その子に対して日本の教育を受けさせることが必要であると考えられています。
そこで、申請者が学齢期にある者である場合、
きちんと小学校又は中学校に通学していることが求められます。

【居住10年要件の例外(特例)】
★なお、上記【ア】の条件については、「原則」と前置きされているように、
10年以上・5年以上といったいわゆる居住要件に関しては、「例外(特例)」が設けられています。
この特例について、永住許可に関するガイドラインでは下記のように9通りの条件が列挙されています。
(1)日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実体を伴った婚姻生活が3年以上(2027年4月以降の申請
については”5年以上”)継続し,かつ,引き続き1年以上(2027年4月以降の申請については”3年以上”)本邦に
在留していること。
その実子等の場合は1年以上(2027年4月以降の申請については”3年以上”)本邦に継続して在留していること
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定を受けた者の場合,認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)構造改革特別区域(特区)内において、当該特区の特定事業等に従事し、当該事業において我が国への貢献が認め
られる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること
(5)地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第15項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計
画の区域内に所在する公私の機関において,出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第
1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当
する活動を行い,当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合,3年以上継続して本邦に在留してい
ること
(6)出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」
という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
ア 「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
イ 永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上
の点数を有していたことが認められ、3年以上継続して70点以上の点数を有し本邦に在留していること。
(7)高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって,次のいずれかに該当
するもの
ア 「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
イ 永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上
の点数を有していたことが認められ、1年以上継続して80点以上の点数を有し本邦に在留していること。
(8)特別高度人材の基準を定める省令に規定する基準に該当する者であって、次のいずれかに該当するもの
ア 「特別高度人材」として1年以上継続して本邦に在留していること。
イ 1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として特別高度人材の基準
を定める省令に規定する基準に該当することが認められること。
(9)外交,社会,経済,文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で,5年以上本邦に在留している
こと
※例として、日本政府からの表彰(国民栄誉賞等)、ノーベル賞受賞者、高松宮殿下記念世界文化賞受賞者等






